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数寄屋材



黒柿(くろがき)











写真は柿の木150年〜200年生の原木、皮目近く(外肌)製材した所を撮った物です。樹齢を積んだ老木を切ったら


全て黒い模様が出る物ではなく、中には黒い所がほんの少ししか無かったり、果実樹として若木の頃の挿し木のある


木などは継いだところまで立派な黒柿模様があった物が継ぎ木部分より真っ白だったりで、長く黒柿を扱っていると


失敗談は数知れずと言う具合です。それほど黒柿の良材に巡り合うことは少ない樹種と言えます。


例えば、100年以上経った柿の木、100本単位で伐採して良杢、良材が得られるのは、1〜2本程度の確率、


孔雀杢(緑色をした鳥のクジャクの羽根の色彩がある物)や網目(あみめ)状の杢目は1000本に1〜2本と言われるほど


自然の中で出来る杢目の中でもまさに幻の貴重材です。







たまたま材に巡り合うチャンスがあっても、10年、20年と自然乾燥や割れないように一手間、二手間と


手を掛けてようやく製品に至る為、時間と手間の結晶とも言えます。










柿の木§V木の皮肌





皆様の中で、庭に柿の木が有るという方は木の樹齢、太さを測って見て下さい。太さ30p、


人間の視線、目の高さの径、40pクラスの木が有るよと言う方は、稀と思われます。若い木は錦木(にしきぎ)の


ような蛇の鱗状になった、肌合をしています。直径50p〜70pクラスの柿の木は写真のような枯淡の老齢木の皮肌を


持ち合わせていて、おそらく黒目の良品が出る可能性が高い柿の木です。








自然の造形美 黒柿 網目杢 小豆杢






黒柿の杢目の最高位は孔雀杢、網目杢、小豆杢などがあげられます。この下のランクに縞杢があり、共に


白黒の杢目立がはっきりしていて、板巾のバランスが求められます。建築材に始まり、指物、細工品に


至るまで、サイズに見合った、杢目、白黒バランス、美的色彩が揃った物が要求されますので、難易度の


高さが一般の木材の杢目とは桁違いと言えます。











柿の木の芯部に近い黒い部分を真黒(まぐろ)材と言います。 よく縮緬杢が入った真黒部分


杢目のバランスの対称の杢目柄は上記の写真の真黒と言われる部分です。


柿の木の芯部にしか現れない特殊な杢目柄です。











インド領アンダマンダン諸島産出の黒檀(こくたん)



黒檀 真黒材







黒檀 真黒材 切り口




上記の写真は黒柿と同じマメ科の熱帯雨林地帯から産出する黒檀(こくたん)です。今私たちが目にする黒檀と


違い、はるか昔、唐木(からき)と称され日本に入ってきた材料の内、紫檀など特に芯部から黒い黒檀の真黒材です。


インド、マレーシア、インドネシア、ボルネオなど黒檀の真黒材の産地でしたが、現在は産出量も少なく小径木が


多く、伐採輸出禁止でほとんど目にしない材です。昔から漆黒の光沢の美しさが尊ばれ、黒檀、黒柿、真黒材


この二種は双璧材と言われてきました。これも幻材の1つに数えられるほどです。壇≠ニ言う字の意味は、


時の皇帝しか持てない材(玉座、家具に至るまで)を意味します。この黒檀の真黒材は高級ピアノの鍵盤、工芸


指物の象嵌材など、硬さ、光沢共に高級ステッキ材にも用いられています。







地中からの自然の贈り物タンニン<}メ科の植物、黒柿のお話でした。


柿*Yれましたが、大きな柿の木をお持ちの方、写真をお送りください。鑑定させて頂きます。










26.2.19 東京数寄屋倶楽部 村山元伸