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数寄者の小道具
10月の茶杓 栗
三内丸山遺跡より炭化した栗の実が多く出土し、栗の栽培がすでに縄文時代まで遡る事になりました。
日本古来の栗は古事記、万葉集にも名が記されています。その材は茶室の建築材料として使われることも多く、
道具は炉縁材を始め、多く作品に見られます。10月栗と言うと、遅いと感じる方もいると思います。
栗の栽培種は現在200種を超すと言われ、早生種が多く、9月に市場に出回り始める為です。
栗に限らず季節の時計が狂ってしまいます。栗は9月の終わりから10月中頃の物です。
左は栗材の鬼皮肌の木地です。右の茶杓下の材は栗の老齢樹木に見られる縮緬杢(ちりめんもく)、業界では
チヂミ≠ニ呼ばれる杢目柄、作品はこのチヂミ柄を生かし拭き漆塗り仕上げを施した物です。
仕上がりの雅味から言うと、皮目を少し残した方が私も好きですが、栗の皮と非常によく似た樹種が多い為、
あえて作風を変えてみました。
香合:栗材・矢車実 ヤシャブ染め 東都指物 松本宗広作
茶杓:栗材 自作品 栗縮緬杢 拭き漆仕上がり
新木場にも栗の木を2本植えています。台風が来るとあっと言う間に落実します。写真の実は9月初めに
撮った物です。場末のしかも海が近い新木場でも健気(けなげ)に大粒の実を付けてくれます。
10月は栗≠フ茶杓です。ヨーロッパ種のマロングラッセもいいですが、日本種の焼グリ、栗ご飯と続き、
抹茶の友、栗羊羹、茶巾絞りですか。グーッとお腹が鳴りますね。
25.10.25 東京数寄屋倶楽部 村山元伸