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数寄者の小道具






八月の茶杓 山椒(さんしょう)










茶杓 山椒





御存じの山椒は小粒でもピリリと辛い≠の山椒です。京都名物チリメンジャコ≠フ木(こ)の芽漬けが


有名です。花は4〜5月頃で実を付けるのは秋口、実は紅熟してはじき出されます。盛夏、夏バテ状態、暑さ


吹き飛ばし、体の養生も兼ねてこの季、ふさわしい茶杓と思います。


八月は杉の木立の日除け暑さしのぎを掛けてと杉の作品とも思いましたが、やはり山椒でした。


左の山椒ゴツゴツした岩のような皮肌が男木、トゲやあまりイボの無い物が女木と言われてきましたが、


女木は栽植種だそうです。男木のゴツゴツした皮肌を手許に残しすりこぎ≠利用しての自作品です。













幹は強剛なので折れにくい事から、ステッキとしても利用されてきたそうです。


















今年の陰祭り≠ノ因み渦は水掛け祭りの溜塗り棗、蓋裏は木場の代紋キ(トンボッキ)・深川の川を


三筋の流れの金蒔絵を描いての取り合わせです。











盛夏、暑さ、邪気、病魔退散を願掛け、朱赤(昔より魔除けの色)を利かせたり、


義山(ギヤマン)ガラスや夏の産物などを取り合わせ、道具組にふさわしいと思います。


残暑厳しい時節柄山椒≠生かした取り合わせも一考です。










蓋置:銀切子、義山市松柄、西瓜(すいか)、釣瓶(つるべ)


茶器:義山金砂子、渦(深川八景)、曲げ木地(片木目へぎめ)、南゙


香合:蝙蝠(こうもり)牙製


柄杓:朱塗りの風炉用、朱塗りの面皮(煎茶物見立て)








茶杓ひとつでパンチが利きます。八月は山椒茶杓でした。










25.8.19 東京数寄屋倶楽部 村山元伸