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数寄者の小道具






2月 梅







二月と言えば、初春、梅香る#~はこの月を代表する木です。万葉の時代から花と言えば数々の歌に詠まれた


梅≠指します。梅はもともと中国から入ったとされ現在品種改良された物も含め4〜500種あると言われて


います。茶席の茶花としての梅は五弁・白色の野梅が好まれます。白梅は夜咄茶事にも用いられますが、


雪降る場面の茶事では遠慮するのが昔から習い≠ニされています。











上の写真は太宰府天満宮何代の宮司さんの作品かわかりませんが、祀られている菅原道真公の飛梅(とびうめ)


伝説で知られる梅の木より作られた茶杓です。










数寄者 畔江漁徒作

こちらの茶杓は紅梅の皮肌を残し、削り上げたものです。どちらも真≠フ型です













梅は小さな物で香合に始まり、多くの指物作品に登場します。また茶室建築では床柱・床框(とこかまち)


壁止まり材・台目柱など茶人に好まれ使われます。木地使いでは、経年変化が著しく、艶・色彩(真紅)の強い


紅梅の木地が最上とされます。出来上がりの作品の色彩は、一位アララギや桜木地と素人目に区別はつきませんが、


使い込まれた後の色は紅梅に軍配が上がります。ここでいう紅梅はややこしい話ですが、白梅系の赤ピンクの


花を咲かせる梅ではなく、枝先を折ると色がまるで違う紅色の江戸時代の初め頃中国より日本に入ってきた


紅梅を指します。







鬼皮付の紅梅の木肌








紅梅の真紅の木質






種の例では雪のあけぼの≠ニ言われる紅梅系の紅梅です。紅梅はタテの導管が平らな柘植(つげ)と同じな為、


風流人・茶人の印材として用いられています。大工数寄屋師の上級者は紅梅か御蔵島桑材から作られた墨壺≠


持つことが夢とされてきました。








梅は材の持ち味を引き出すための養生期間が長く、手間がかかり特に皮付物は虫害にも弱いため、皮を付けた作品は


それだけ価値があります。こんな事を思い浮かべて改めて茶会で梅≠ニの出会いを楽しまれたらいかがでしょうか。





紅梅皮付炉縁









25.2.10 東京数寄屋倶楽部 村山元伸