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数寄者の小道具






視覚の衣替へ





10月に入り衣替へ季≠ニなりました。簡単に言ってしまうと障子紙の張り替えですが、


心と視覚の衣替へ≠ナもあります。皆さんの中に茶道の衣替へと言うと室内の夏のヨシ戸が


襖に変わり寄付の籐敷物が畳へと変わると思っている方が多いと思います。都会では


納戸収納スペースが充実している茶室例ばかりではありませんし、経済的に余裕(ゆとり)のある


方ばかりではありません。ここで紹介するのは1年を通じて同じ建具障子類を障子紙をデザインし、


張り替えるだけで茶に招いた方に室礼の新しさ、季節を感じさせ又、思いもよらない光の効果を


視覚で楽しむ考え方です。次の方法も数寄者の脇の小道具として立派に生かされると思います。











展示室の書院出窓障子です。茶室にふさわしい障子紙は白を基本とするのはもちろんですが、


柿色の和紙を主体に裾に松皮菱(まつかわびし)≠デザインしました。同色や反対色を重ねると


しつこさ≠ェ出ますので障子下には白の覗き≠ニしました。







いつも来て頂いている表具師の方は、東京で第一人者文京、向井表具店で修業した方で、なかなかの


勉強家で経師に関しては軸にはじまり深い造詣を持っています。又いろいろな紙を使った新しい


ジャンルにも挑戦している方でもあります。松皮菱のデザインは網代編みにもあります。一歩間違えると


料亭≠ノなってしまいますが、ここ一番、うまくまとめて頂きました。


このように紙張りのデザインはいろいろ出来るそうです。


この茶室は午前中を通じて日が差しますと、ステンドグラスのように室内が明るく白い障子紙一辺倒とは


違い面白い趣向≠ニなりました。













室内ブラケットも夏季の竹の籠目から抹茶色と白の市松張りに変えました。


紅葉と鹿の模様の置行灯もこれから向かう季節の中にうまく配置しようと思います。













事務所内の障子戸類ですが、以前はすべて白一色で納めていましたが、今回は鐡紺≠ニ白をうまく


張ったつもりです。下の白い覗き張りが重い色の鐡紺を和らいでいて現在来客者の目を楽しんで頂いております。























紹介したように障紙の色、紙質、張り方を少し心掛けるだけで、部屋のイメージ等が変わります。


金銭的な負担もなく、失敗を恐れず思い切った考えで皆様も挑戦してみてください。


これも数寄者の小道具を引き出しと考えます。














数寄屋建築茶室の建具材はすべて杉材≠ェ基本です。


価格ランク別に昔から


@霧島杉    A吉野杉(赤杉)    B秋田杉    C各地の杉(地杉 じすぎ)


となります。杉は材の持つ経年変化を楽しむ事が出来ます。間違っても桧(ひのき)、スプルース(外材)等


は使用しません。戦前は数寄者好みは建具は杉を中心に床の間地袋天袋の縁(ふち)材・襖の縁材に


桑(くわ)≠用いたり書院障子に茶神代杉を用いた例が多くありました。


今は幻の建具材ですね。






協力:茨城坂東市 石山表具店(松韻堂)







24.10.1 東京数寄屋倶楽部 村山元伸