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展示場


草々の床(立礼床)







関東間八帖の広さに台目畳(座式点前畳・道安囲)が付いた立礼の茶室の床の間です。大きさは


間口5.6尺(170p)×奥行2.1尺(64p)で関西間の「5尺床」より少しだけ大きく間を取っています。






床柱






栗や檪(くぬぎ)の皮付丸太によく間違われますが、阿部槙(あべまき)と言うクヌギ科の木です。この材を


使用している有名な所は「桂離宮西門柱」や藪内宗家入口の門柱に使用されています。この材は少しでも厚い皮


が落ちていると商品価値がない為、雪の季節を選び木≠ノ蒲団を巻いて山出し≠します。





落掛




伊豆天城産の茶神代(火山噴火時立ったまま埋まった材)で茶人と茶神≠掛けて東京の


数寄屋師がよく戦前は使った貴重な材の一つです。床の相手柱は錆付の丹波档(あて)(あすなろ材)


で一部面取りを施し、侘びさを演出しています。














床(とこ)





立礼式なので腰高1.5尺(46p)と比較的低く取っています(長い掛軸にも対応できるように)。


地覆(じふく)材は栗の色付を使い敷石(スペイン平石)に冬は琉球畳の3尺角市松敷になります。


床板は春日大社の中杢目(なかもくめ)≠ニ言う杉のおとなしい杢目材春慶塗りを施し床の格


をここだけ上げました。塗りの一枚で草々真≠ニ呼ばれる格に早変わりします。






床天井





会津桐板目杢の鏡板張りです。生地ですと草庵様式では強いので、ダージリン紅茶染で色掛けを施して


います。軸掛けは、川船のモヤイの金物部分を中央に船べり板の洒落材を用い雲板形式にしてあります。





壁は土壁に弁柄(ベンガル粉)を入れ中塗り時に古い畳からほぐした藁(わら)を入れ仕上げに


鹿沼箒(かぬまぼうき)の毛先の柔らかい所をカットした道具で壁表面を箒擦り引き(ほうきずりびき)


を施しています。当然床は真の格≠ネので(御軸が掛かる為)鏡面仕上がりとして部屋と塗り分けを


しています。また床柱付の壁には月形(三日月)§m床で形を付けていて仕上がり時に


浮かび上がるように意匠されています。













朝茶事など盛夏時の来客の方に少しでも涼≠呼ぶ為写真は朧月(おぼろづき)風に水を打っております。










床中央に花一輪飾り、壁廻りに観世水風や水雲の形に見立て水を打てばこれで涼一味≠ノなり


これも掛け軸の無い立派な床飾りです。


このように床の間は飾りの場であり遊びの空間でもあります。










この席は台目畳に亭主が座りお点前を、お客様は立礼式のテーブルなので、長時間の茶会でも堅苦しさがなく、


使い勝手が良く傘様式のゆったりとした伸びのある天井空間なので、居心地が良いとよく言われます。















24.7.25 東京数寄屋倶楽部 村山元伸