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展示場


寄付席の床の間(間口五尺×奥行2.15尺×床高1.85尺 巾木3.9寸)




部屋は関東サイズの8帖です。床の間サイズは関西サイズに取っておくと便利です。


まずあらゆる床飾りが楽しめます。あと1寸・2寸で入らない写りが悪いケースで泣く事が多いからです。


来客の応接をも兼ねていて立礼も出来るように設計されています。


茶室は「行の体」から始まりますが、部屋の空間はすべて「草」の材料の


取り合わせで構成されていて床の間だけは「行真の体」をいくつか入れておりますが、


草の材料が7割以上占めており、部屋全体は草の茶室と言えます。








床柱(とこばしら)




京都市北東灰屋(はいや)近くの山で採れた北山杉天然絞丸太。地名から「祖父谷(そふたに)絞り」と


呼ばれていて、縮緬絞り糸の丸太です。昭和55年より、一般に出回り始めたクローン技術(挿し木)で


出来た丸太と違い、突然変異により形成された千本に一本出来るかという丸太です。


天然絞り丸太は真の格を持ちますが、形状が丸太なので「行」の扱いとなります。








落掛(おとしがけ)

  


落掛は見た目柔らかくうつる杉(吉野杉中杢目)をあしらい、


床柱から光のさす方向へ杢目を走らせています。見付は1.15寸です。


広間は真であれば柾(柾・柾)の杉・桐等、小間は桑などももちいます。








床框(とこかまち)




東京の数寄者好みの、青梅松(野趣松)と呼ばれる赤松の鬼皮をすべて取り除き、


さらに甘皮の「二の目」部分だけストライプ状に残した框で、用途寸法により


ストライプの面数を趣により調節します。


床飾りの写りを考え、見付面を鉋で凌い拭漆を施しています。







畳床(たたみどこ)




床飾りに適しているのは板畳でなく、畳床の方が、粗相が無く安心です。


普通は黒・茶の縁(へり)で一般の畳表を使いますが、応接間を兼ねておりますので、


「格」を上げる為「龍髭(りゅうびん)畳表」に高麗縁の中紋(ちゅうもん)を設けています。







立ち上がり壁




古瓦 古刹や名城の軒先瓦を三つ埋め込みました。


茶室等では「奇数」が決まりです。普請時「瓦」の位置を一日中棟梁と思案しました。


数寄屋では目線・からみ・大きさ等熟慮しなければなりません。












左官は横浜西京工業の職方が入りました。5年以上集めていた抹茶の残り粉を


相当量壁に入れました。当初は抹茶色、グリーン色が目立ちましたが、


今では落ち着いています。


腰紙も緑色の和紙で合わせて張り込んでいます。







役釘 その他

  


  


一応必要な役釘は打っています。軸掛け三福釘に始まり、


床柱花生釘・床天花釣り釘・柳釘・落掛釘・床中花生釘


そしてあまり見かけない和額装釘です(床中花生釘の上)


これがあると板額、扁額等重量のある額飾りが出来て


対応の広がりができる便利な釘です


(床の間内に7種類の和釘が必要です。)





床造作 数寄屋師 大成工務店 大成守棟梁





24.6.25 東京数寄屋倶楽部 村山元伸