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季節の室礼 床の間飾り
平成二十六年 午=@1月正月飾り
初夢¢
新しい年を迎えて最初に見る夢を指し、特に二日の夜に良い夢を見ると一年は良い年めぐりになると
言われています。古くは節分の夜から立春の明け方に見る夢を初夢としていたこともあります。
江戸時代中頃に大晦日から元日の朝にかけてみる夢を指していましたが、現在は二日の夜に見る夢を
初夢と呼んでいます。江戸っ子に限らず初夢≠ノよって一年間、各人の運勢を判断しようとする人が
多いのも事実で、「初・・・何々」は今もそれだけ重要だったことを伝えています。
初夢∞初富士∞初湯∞初荷∞初旅∞初詣∞初芝居≠ネど数限りなくあります。
床飾りは歳神様を迎える行事でもあり、落掛けに注連縄を張り紅白の敷物の上に
飾り衝立と縁起物を配しています。よく見ると初夢¢閧ノ因み吉祥の代表とされる
一富士∞二鷹∞三茄子(なすび)≠ェ床内に組み込まれています。
三つの吉夢題がなぜ良いかは諸説がいろいろありますが、
一富士・不二は日本を代表する霊山、霊峰で日本国の目に写る象徴でもあり、
元日に初日の出と共に富士の姿を仰いで思いを新たにするのは昔も今も変わらない事実です。
二鷹は猛禽類の代表でその特性質が江戸時代の武士の心持ちと重ね合うことと言われています。
三茄子(なすび)は大志、願いを成(な)す≠ニ言葉が重なったと考えられます。
初年を迎えるにあたり、現代でも大きなスケールの吉夢を見たいと思う事は
昔から変わらない心情かもしれません。
飾り衝立:杉柾、桧材を雲間に見立て重ね象嵌になっています。透かし彫は江戸の街の当時初富士≠見る
範囲を関と呼び境界を富士関と飛ばれていました。見立てとして現在の江東区深川、大川(隅田川)より一本
入った水路に掛かる浮世絵でも有名な深川万年橋≠イメージして彫られています。左奥に万年橋から見る
雪を頂く富士がのぞいています。
香合:神代杉の彫物を岩場に見立て鷹の焼物≠ニの組み合わせ香合です。
鷹は英国のリキュール瓶で裏に金箔が貼っています。
花器:ふっくらした茄子(なすび)の焼物 椿、千両を活けこんでいます。
祝掛物:吉祥飾り(長慶祥福) 京都 有職苑製
文台に今年の干支を飾っても良いと思います。また彩色鮮やかな歌留多、百人一首、ウンスン歌留多を
床に散らし播いても正月飾りになります。
初夢にあやかり午歳≠ノ因み大きな夢に向かって
天高く駆け上がっていく良い歳でありますように。
26.1.16 東京数寄屋倶楽部 村山元伸