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季節の室礼 床の間飾り




五月(皐月・早苗月・多草月)

汐灯(しおひ)



旧暦3月、4月はのどかな春の海風が心持ち良く頬(ほほ)をなでている場面。遠くに富士山が見え、絵右下に


洲崎弁財天が描かれています。東京湾が現在の江東区東陽1丁目木場6丁目深川各町大川(隅田川)に至るまで


弧を描いたように海岸線が続きます。東都歳時記の深川洲崎汐干の絵です。














この絵を題材に汐干狩りの床飾りです。








床飾りとしては悪い例を扱ってみました。何となく飾りとしては様になって見えますが、掛け軸の画賛と


飾り物が重なったり、立てた葭簀(よしず)は現在汐干狩りと同じ季に見られる簾立て漁(すだてりょう)と


テーマが重なります。中洲での干網(ほしあみ)・澪(みお)を連想させる竹節の花入れも少し賑わい過ぎます。


























的を汐干狩りに絞り込んだすっきりした床飾りです。少ししつこいと思われたら加飾からの引き算が


コツです。潮が引いた浜辺の中州を網代(あじろ)板で表現をしています。










実際に使われていた、浅蜊籠(あさりかご)・貝熊手・籠から逃げ出した渡り蟹≠ェユーモラスさを


感じさせます。今年生まれた出来沙魚(できはぜ)も添えています。












花入:裏千家好み 沙魚(はぜ)壺

花:月見草・鳴子ユリ葉・縞アシ・木賊(とくさ)












蟹・平目の香立て 沙魚(はぜ) 網目の袱紗


千社札(せんじゃふだ):深川洲崎汐干の絵・干潟で逃げ遅れた平目を取り押さえている絵です。











東京湾は昔と違いずいぶんと水質もきれいになって来ました。私は釣りをするのでよくわかります。


多摩川でシジミがわいているニュースを耳にしました。千社札のような干潟場はもう消滅していますが、


海辺でたくさんの人に楽しんで頂く現代の東都歳時記をみんなで作り上げたいものです。


深川洲崎汐干≠ェテーマの床飾りです。








25.6.3 東京数寄屋倶楽部 村山元伸