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季節の室礼 床の間飾り
五月(皐月・早苗月・多草月)
端午祝ノ儀 その伍
明治時代の五月人形甲冑一体を中心にした飾りです。かなり傷んでいた物に手を加えたリメイク品です。
月ノ輪熊の毛皮を背後に吊るして、金屏風・矢立の陣立(じんだて)。左右に鉄砲・竜虎旗・
百足蜈(むかで)提灯・一体の戦国当世甲冑飾りです。
赤い毛氈敷き・毛皮の黒、金屏風の金、「赤・黒・金」の色彩が甲冑を引き立たせます。
本体は明治時代の五月人形。細部に渡り手を加えています。この時代の作品は上手の仕事がしてあり、
銀色に見えるところはすべて厚手の柿渋和紙の重ね張り、銀引漆が施されています。胴などは和紙には
見えず、鋼(はがね)の彫金のようです。雲竜が浮かび上がっています。南蛮胴・当世兜前立物に何と
キセルが飾っています。敵を煙に巻く意味でしょうか?
竜虎旗も本刺繍で肩越・身守りに数珠掛け、面具も朱塗り・網目入りの恐ろしい顔立ちです。
床飾りから今にも飛び出さんばかりの迫力、勢いが感じられます。
今回はあえて季の花、香合は飾りませんでした。
25.5.13 東京数寄屋倶楽部 村山元伸