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季節の室礼 床の間飾り
十二月(師走・厳月・氷月)
無事感謝
かぶ≠ヘ草冠(くさかんむり)に無(なし)と書きます。無事と蕪(かぶ)を字に掛けて蕪・無事(かぶらぶじ)≠ニ
呼びます。また蕪(かぶ)は農家にとって厳冬の食の蓄えでもあり鍋物や葉の漬物に至るまでこの時期利用されます。
今年もつつがなく無事≠ナあった事への感謝の床飾りです。
根来塗りの高麗膳を薹(だい)に小蕪を除夜の鐘に因み人間の煩悩を打ち払う願いを込めて108個積み上げ
来年も良い芽≠ェ出ますよう、柳の枝芽を花形に差し入れ蓬莱山(ほうらいさん)≠ノ見立て不老長寿の縁起の
霊芝(れいし)万年茸≠頂きに立てています。
霊芝万年茸
蓬莱山飾り
紙敷:墨流し 香合:黄瀬戸梵鐘
一年を振り返り嫌な思いを墨のぼかしのように消え去るとの意味で用いました。
床天井より砂張喚鐘を下げ、相手柱に撞木(しょうもく)を掛け軸はどことなく愛嬌のあるかぶ≠フ絵の画賛
両脇に煤竹と桑木地の一対の燭台、蝋燭に灯を入れると後は除夜の鐘を聞くばかりの情景です。
茶人でしたら一年の水≠ヨの感謝、恩を送る為除夜釜を懸け炉中の残り火にすっぽり灰を被せて
埋火(うもれび)とし、助炭を掛けてやがて来る新しい年の下火とします。
ゴーンと鳴る除夜の鐘。今年も無事めでたく千秋楽≠ニ至ったところです。
24.12.28 東京数寄屋倶楽部 村山元伸