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季節の室礼 床の間飾り




十二月(師走・極月・春待月)

冬&驍黷フ木挽小屋



どことなく懐かしくもの寂しさを感じさせる木場のこの季≠ネらでは飾りを演出しました。漁師なら


番屋での一齣(ひとこま)に当たります。師走はあっという間に年の瀬を迎えます。日も落ちるのが早い


せいか一年が終わるもの寂しい感はどなたにもあるのではないでしょうか。


床の場面は昔どの大店(おおだな)には店奥に仕事師の寝泊り小屋や休憩所が必ずと言っていい程ありました。


そんな木場≠フ情景を再現した床飾りでもあります。







木挽の持つ大きな鋸(ノコ)は大鋸(オガ)と言います。鯨の形に似ているので鯨鋸(クジラノコ)とも


呼びます。木材を挽く際、木のチップ・粉をオガクズ≠アれが語源です。







床の中央には店(たな)の旦那から貰い下げた歳暮の荒巻鮭が左に木場≠ニ染め抜かれた仕事着と共に


吊るされています。道具の大鋸も休み置きされ、仕事が終わって一風呂浴びた手拭いが掛けられ


振る舞い餅を小振りな火鉢で焼いている所これから一杯引っかける瞬間が目に映ります。来客者が


暮れのあわただしい外界とは離れてタイムスリップした目でゆっくりした刻(とき)をきざむ心持ちを


味わって頂けたら幸いです。












生花の代わりに店の各蔵の鍵を下げています。(戸締り用心)












紙敷はいろは四十八組纏(まとい)尽くし(江戸火消火の用心)


香合は秋葉神社火伏の天狗です。









いろはにほへと$付の小振りの火鉢。明珍火箸の組み合わせ。焼目の付いた餅はイミテーションです。


左の相手柱には残り少なくなった日めくり@

















場面をもっと大晦日近くにするには・・・













煤竹の燭台に灯心を点け、荒巻鮭から相伴にあづかった後の鮭を吊るすだけで


夜咄茶会にも使えます。








御歳暮の歴史の中で鮭は江戸では貴重な品で特に越後三面川(みおもて)の寒干し鮭は当時


藩の献上品とされ歌舞伎役者は贔屓筋から何本届いたかが、人気度のバロメーターだったと言われています。









注意すべきは、あまりリアルに表現をすることは避けてください。この場面で一升瓶やぐいのみの茶碗を


置くと台無しになります。脇道具(鋸)の大小などうまく表現することは結構難しいものです。


お茶人にはいろいろな職業の方が居ます。自分の職業の小道具を使っての床飾りも意外と


面白い飾りが楽しめます。







木彫鮭%題:桜材より一木で作り上げました

東都深川木彫舎作






24.12.6 東京数寄屋倶楽部 村山元伸