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季節の室礼 床の間飾り




九月(長月・長雨月・菊月・夜長月)

「重陽」







9月9日は、雛祭りと並ぶ五節句のひとつ、重陽(ちょうよう)の節句です。この日の朝、菊の花弁に


掛かる朝露を真綿(まわた)で吸い集め、酒に入れて飲む菊酒は不老長寿が得られるとされ、菊は霊草


として枕に入れて(菊枕)等、いづれも長寿への祈りを込めた行事です。


中国では古くから縁起が良いとされる奇数3・5・7・9の内一番大きな数字の九が重なる事から


重九(ちょうく)
とも呼ばれ特にめでたい節句とされています。民間の間ではこの日を、お九日(おくんち)


と呼ばれ秋の収穫と共に合わせて祝うようになりました。


日本では10月・11月に行われる長崎くんち=E唐津くんち″ユりが有名です。










敷板

100年単位で水流に洗われた水車の羽根板の洒落材を、五穀を挽きながら回る水車を収穫を祝う印

として使いました。なかなか長さ巾のある水車の洒落材は現在、いざ捜すとなると見つかりません。










朱の大林

酒を注ぎ1輪の菊花と花弁を5枚散らしています。










檜木地三宝

丸三宝には故事に習い朝露で濡れた菊花の水分を真綿(まわた)で丸く包み込み供物として

表しました。供物として表現する時には、塗り物より丸型角型を問わず檜(ひのき)の木地を

使った方が床が締まります。曲げの綴じ目の向きですが、丸前角向こう≠ニ教えられましたが、

床を神聖な場所供物として考えるなら、綴じ目は客付に見えるのが正しいと思います。










紙敷

お軸がありませんので、あえて菊尽くしの模様としました。



香合

旧暦としても日中は暑さが残る季≠ネので竹網代(あじろ)の香合で菅笠を表しています









現代は旧暦の九月とは異なり東京では夏花がまだ盛りで草花は正直なので菊類は花を


咲かせていません。茶の精心の1ヶ月先取りでは無理があります。


床の室礼(しつらい)泣かせの九月です。









24.9.6 東京数寄屋倶楽部 村山元伸