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季節の室礼 床の間飾り



七月(文月・七夕月・涼月)

「土用の丑」


 



「土用の牛」に掛けての床飾りです。又陰陽五行説からくる「土用」でもあり「夏は火」暑さ本番へ


向かう季節でもあり、滋養・慈愛する心構えが求められます。


床の軸に「これからはうなぎのぼり」と書かれ「鰻」墨絵が添えられている縁起物の画賛でもあります。









本来は寄付席など軽い床向きですが、画賛だからと言って本席の床には、と言う方が居ますが、


掛けてみると鰻の剽軽(ひょうきん)さも手伝って楽しさを呼びます。



最近は特になかなか雅味のある画賛を書く方が少なくなってきており絵と賛が違う方では


困ったもんです。一行物とは違う雰囲気を演出するには持って来いです。


中央に古い「竹編ビク」を置き、団扇(うちわ)が川船の帆に見立て置かれています。


本当は長い「ズンドウ」と呼ばれる漁具があれば良いのですが、今回は「ヘビウリ」の花入を


掛けてそのかわりを演出したつもりです。





香合は土用のいわれに添って陰陽の「対極」の丸香合、紙敷二極の赤と黒の市松模様としました。




シンプルでまとめたつもりですが私としては真っ赤な大きな渋団扇を飾り暑気を社中来客の方々を

払いのける意味で使った方がインパクトがあり面白いと思いますが








画賛:矢部嵐渓書

季の花:桔梗・矢羽根芒(やばねすすき)



この方の描いた鰻は養殖物の腹が白くありません。

天然の黒太郎を食べ付けている方だからこそ上手に描けると思います。







24.7.21 東京数寄屋倶楽部 村山元伸