ホーム 数寄屋材 季節の室礼 数寄者の小道具 展示場 作品 アクセス 江戸の風一人事 お問い合せ



作品




立礼丸炉卓(りゅうれいがんろじょく)





茶会では寄付の汲み出し給仕に又来客時にお茶がすぐ出せてと欲張り尽くめを目的とした家具を製作しました。





茶室だけではなく一般の家庭の隅にあると便利だと考えます。せっかく高い月謝を払い茶道を習っている

訳ですから来客時にコーヒーや紅茶では自身が納得しないと思います。

よくキャスターを付けたワゴンタイプを望まれますが、実際の所便利なようでまったく便利ではないのが

通販系と言えます。羽根の部分を入れても間口3尺奥行1.5尺×高さ2.5尺(910×450×760_)のコンパクト設計で

茶の精神を凝縮して落とし入れた優れものです。材料は見た目優しく主張しない女桑(黄肌材)を組んでいて少し

格調を醸し出すため正面板は黒神代杉に「桐の鳳凰」の透かし彫りを施しケンドン板なので、つまみ金物は

「市女笠(いちめかさ)」仙徳色の上品な物を取り合わせました。














天板は丸炉板をくり抜き、抜いた部分と杢目がピッタリはまるようにしました。









手掛けの丸穴は塵が入らぬよう工夫しています。丸炉の中は最新型電気炉(名古屋ヤマキ電器葛、同開発)の

「紗楽(しゃらく)」を忍ばせていて従来の銅色の明るい色を避けて渋い石炉風の丸炉にしております。







冬は筒釜や鉄瓶を掛け、小振りな鉄自在を下げます。














夏は戦前のロシアの沙毛有(サモアール)と桶に割氷を敷き見た目の涼しさと冷水出しと兼ね合わせ

洒落を演出しました。







本器サモアールも取っ手等竹を使い和風仕立てにしています。






接待什器はすべて竹製の煎茶提藍籠(ていらんかご)に仕組んでおります。




夏の自在は竹製に限ります。




24.7.2 東京数寄屋倶楽部 村山元伸