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江戸の風一人事
私の茶室は宮大工さんに作ってもらったのよ!!??????
宮大工 堂宮(どうみや)大工 数寄屋師の違い
良く宮大工さんに茶室を造ってもらったと耳にすることがあります。
実際に建てた家なり茶室を拝見するとほとんどの場合「エ〜!?エ〜!?」と驚いてばかりです。
柱の寸法が太すぎたり中には逆勝手に炉が切ってあったり、これは料亭ですか!?と聞きたくなる
ような建築が多く拝見に耐えられず何かほめる個所を捜すのに苦労します。
坪単価の高い家を建てた!!と言う自慢の代名詞に使っているとしか思えません。
これは何が違っているかと言えば施主(現在は御婦人の方が多い)さんがTVやマスコミなど
何かのワンシーンが脳裏をかすめて、宮大工は腕が良いんだ、技術があるんだ。大きなお寺の
建築を手掛けているんだと、そう思い詰めているほかありません。中には飛騨高山の大工
気仙沼の舟大工とかとにかくタイトルが付いた大工さんは技術を持っていると信じ込んでいる
所に最初のボタンの掛け違いを起こす起因です。
宮大工は本来、寺や神社など大きな構築物を造る事にたけていて歴史は古く飛鳥時代より続く家系が
あるくらいです(金剛組)。中には寺に付随した茶室を建物の一環として普請することはあっても
部材の1_、1分(3_)を競い合い、繊細な数寄屋建築にはむいていません。
茶室を建てるのに宮大工西岡常一氏にはたのみません。繊細で華奢でいて優美な外観しかも
構造的にはしっかりしているという建物では、難しい技術を要します。
この建築を得意とするのが数寄屋師と呼ばれている方々です。若い時よりそれ専門に修行し、
当然茶道の心得もあり、中には芸事を多く積んでいる大工さんもいます。本来このような大工さんと
建主がしっかりスクラムを組むことで名席が生まれます。現在、東京・名古屋・京都・大阪さらに
地方都市にも少なくなったとはいえまだまだいます。夢の出会いですから茶室を建てるなら
数寄屋師の大工さんに造ってもらってください。
間違っても良く知っている大工さんだから、腕が良い工務店さんと聞いているから、
有名なハウスメーカーだからとか、安くできると言っているからとか夢の本題と別な考えを
持って発注されると「後の祭り」という結果に必ずなります。私は40年近く業界のいわば「黒子」
として生きてきた人間ですから本当の事しか言いません。
「奥さん!あれほど言ったじゃないですか!」と言う言葉はもう使いたくありません。