ホーム 建築の心構え 数寄屋材 季節の室礼 数寄者の小道具 展示場 作品 アクセス 江戸の風一人事 お問い合せ



数寄屋材



茶室床柱 赤松皮付丸太


業界では西京天然皮付丸太と呼びます。
女松(樹皮の赤皮から赤松と言われます。)


昔は西の京 桂・大山崎・嵐山以西から産出したので京都の西「西京」の冠が付きました。

昭和に入り、茶室建築以外(料亭、遊郭等)にも使われ始めた結果、

30年〜40年生の年輪の細かい良材は市場より消え去りました。

戦後、一般住宅の着工と共に、その需要がさらに増し全国的な広がりを見せました。

生産量が追い付かず京北山丹波にかけて採れた丸太も「西京」と言われました。

昭和40〜50年頃は近材でも生産出来なくなり、奈良・和歌山・長野・山陰山陽と

生産地が地方に広がりました。時、同じ頃、松喰い虫の被害と重なり現在はどの地域からも

良材が手に入らない状況が続いています。







切りたての材がすぐ使える訳ではありません。

各店の倉庫に3〜5年を経過したもの、その間に乾燥はもちろん防虫処理火入れを何回か施した

物でないと保証が持てないのが現実です。手間ひまかけた商品でなおかつ

「茶の世界」でいう「景色」を持った柱となると探してもなかなか無いものです。

当然1本10万円以下の物はありません。







現在茶室建築をされる際、注文される方が多い順に入る商品の一つです。

景色(曲がり・切り節の出・皮肌の色つや・雅味)が好まれ古来日本人の松と言う

言葉の響き、松への美しさの好みが強い点もあります。また新物(あらもの)の茶道具の

取り組合わせにも雅味との相性が良く見栄えする為だとも言われます。

黒松、男松の皮肌は茶室の床柱としては主張すぎる為その作例はほとんどありません。





適寸法
床柱として関西間を例とします目通り(目視線の位置)


8帖間 太さ 3.5寸(105_)〜3.8寸(115_) ※4.0寸(120_)は太すぎます。

6帖間 太さ3.0寸(90_)

4.5帖間〜小間 太さ2.5寸(75_)〜2.8寸(85_)

※関東間は上記の9掛け径寸となります。







  

写真右は表面に木ロウを施したもの

写真中は赤肌木地のままの状態です。

産地採れた場所によっても樹皮の色が異なります。



写真左 人造赤松皮付丸太

赤松の皮をヘラで剥がし、丸く削った芯材に張り付けたものです。

皮は天然なので人造赤松皮付丸太と呼んでいます。

欠点は剥がした皮なので、皮自体収縮乾燥の為皮が後になって落ちるのが欠点です。

このままの状態で使えないので張った甘皮をよく落として塗装を掛けた方が無難です。

また節のある部分を除いて張り付け加工する為当然「ノペッ」とした直線的な出来上がりとなり

天然物とはあきらかに違いすぎます。長さに対して上と下では同径寸なので大工技術が

掛からないので店舗用には最適です。

この丸太は高度成長時代の産物で、現在上手に張る職人さんの数が減っています。





24.6.27 東京数寄屋倶楽部 村山元伸