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数寄者の小道具






5月 つつじ・藤(ふじ)の茶杓









写真左の巨木より作られた茶杓です。この材はさくらつつじ≠ニ呼ばれていて、屋久島から沖縄諸島に


分布しているつつじです。材は表面がデコボコしていて渋皮も小豆色が見られ、趣ある肌合いです。


このつつじを使った茶室で有名なのが水戸市にある弘文亭です。江戸時代島津藩が水戸家に送った


床柱だといわれています。







左:つつじ茶杓

右:藤皮付茶杓(2本)

櫂先に少し皮目を残し景色を出す工夫が見られます。










古くから中国で鯉が滝を登り龍に化身すると言われています。岩場の段を跳ね上がりながら三段目の


岩場に登ることを及第(きゅうだい)≠ニ呼び、今日試験などの合格点を指す意味に使われています。


茶杓の櫂先(かいさき)に当たる所に岩場のような煤竹の景色がみて取れます。
















この茶杓を手に取り、題江戸っ子をみてピンと来る方は少ないと思います。千家名物不審庵伝来茶杓


蟻通し(ありとおし)の虫穴よりスケールが大きく開けた茶杓です。もちろん自然の造形美で


一切手を加えた物ではありません。









数寄心とトンチを利かせて江戸っ子≠ヘポンポンと啖呵口調悪気なく本音はあっさりしている表現言葉


として使われる。江戸っ子と腹は吹き流し≠ニ掛けています。鯉登りに吹き流しは付き物と蟻穴を


もじって洒落を利かせて題名が付いた茶杓です。















この時期梅雨前、少し汗ばむ日もあり爽やかさの演出に南鐐茶入(煎茶用)を組み合わせたり、黄瀬戸の色彩を


山吹≠ニ見立てたり、パンチの利いた茶杓を使ったりで五月の道具組みを楽しむのも一考です。





茶杓:数寄者畔江漁徒作









25.6.3 東京数寄屋倶楽部 村山元伸