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展示場


民芸数寄屋の床の間









4Fにある10帖の大きさの立礼の間の床の間です。格は行草真♀ヨ西寸法に準じた間です。

床柱は紅梅(立枯れ材)を使っています。白梅は平安時代よりありますが、紅梅が日本に伝わったのは

江戸の初め頃ですから、六寸丸のこの床柱は樹齢200年近い年輪があります。

柱の上部分は大工の墨壺として差し上げました。数寄屋師は墨は黒ではなく、朱墨を主に使うので

宮大工の欅(けやき)の大振りの物でなく桑(御蔵島)や紅梅の小振りで上品な物が珍重されます。










落掛けは春日大社の杉材で雑誌サライで有名な木挽、林以一氏が大鋸(おが)で手挽した材を使用し、

わざと侘びさせる為木挽時の刃の跡を残してあります。










床板は京都府宮津の浜にあった江戸末期の日本海廻漕船の古舟板に柿渋汚し≠ェ施してあります。

五寸巾の屋久杉笹杢との取り合わせの蹴込形式の床です。










床に向かって左側は出書院の出窓を長く二間取っていて、右床脇は栗亀甲名栗框に普通は坊主畳を

敷きますが、更に侘び≠ウせる為、籐網代敷としています。










右隅は袖壁を小さく設け、袖柱は紋竹の九節を数えて添えています。






この部屋は鎌倉五山古刹建長寺の梁名栗の古材が主として天井面を占めています。これに伴うように

古材を各部寸法を押さえながら、又新しい材はすべて古色を施しながら重厚ながらも数寄屋の軽快さに

重きを置いています。由緒、来歴の解らない古材を多くポイントに使っても民芸風にしかならず、

民芸数寄屋とは一線を劃(かく)して材の使い方に配慮しています。







24.8.15 東京数寄屋倶楽部 村山元伸