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数寄屋材



青梅(おうめ)赤松丸太

(女松・野趣松の別称もあります)






近代数寄者の名茶室には東京でしか流通していないこの種の材が多く見られます。もともとは


武蔵野から三多摩地方近郊の飯能より産出した赤松の材に人為的に縞(ヘラで甘皮ぎりぎりに縞状に削る)を


施した製品をその産地から「青梅赤松丸太」と呼んでます。







中京・京都関西方面ではほとんど作例を見ることが出来ません。


床柱を始め壁止まり・框・垂木受け・竿縁等、口径によりまた用途により茶室の


趣を考え、削り巾・縞の本数を加減します。ストライプを施す前の粗皮を強く取り除いた状態を


「野趣松(やしゅまつ)」と呼びます。









面皮にあしらうこともあります。時代と共に良品を求めて野州(群馬県妙義山系〜那須野原)にかけて産地が


移りました。野州と野趣に置き換え野趣松になったとも聞きます。戦前は数寄屋材専門の銘木店には、


仕立てる職人さんを抱えていたと言います。





戦後から大柴丸太店がこの種の丸太全般を生産しています。現在まで良材の丸太は数少なく受注生産と


なっています。竿縁直材はさらに数少なく炭・ガスを使った専門の曲がり直し機を使います。


特に茶道具にかかせない棚受けの5分〜7分丸の直材の松は生産できず指物師の在庫本数のみの状態が


ここ10年続いています。江戸千家好み木瓜棚(もっこうだな)や裏千家好みの瓢棚(ひさごだな)


寒雲棚(かんうんだな)の棚受け材に使われています。







写真は江戸千家好み 木瓜棚






この材の魅力は何と言っても軽快さとシャープさを


兼ね備えているところです。茶室小間において、ややもすると「侘び過ぎ」におちいります。この材を


少し使ってあげると空間が華やかさを生みます。近代数寄者が愛してやまなかった材料の一つです。




青梅丸太を使った身近な茶室例は


根津美術館・畠山美術館・五島美術館・護国堂茶室等


(席入りの際注意して見てほしいですね)









24.7.6 東京数寄屋倶楽部 村山元伸