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季節の室礼 床の間飾り
七月(文月・七夕月・涼月)
閻魔参り(えんままいり)
7月お盆の終わり16日は、一般に藪入り(やぶいり)≠ニ呼ばれています。この日は閻魔様の斎日(さいにち)
でもあり、地獄の番人達も仕事を休み、罪人も火炎の苦より解放されると信じられ、この日江戸時代各地の
閻魔堂開帳に参詣に多くの人々が押し掛けたと聞きます。特に商家の奉公人は実家、里へ帰ることが許される
日でもあり、待ち望む日でもありました。もともとは嫁を実家に帰す日であったのがいつの日か奉公人まで
拡大されたと言われています。これは今でいえば、夏休み≠フ原型とされています。
五色幌を下げ、中央に閻魔の面を飾り左右にえんま忌≠フ下り提灯一対、床飾りとして黒塗り文薹(ぶんだい)
中央に大王≠ニ入った桧製の爵幣(しゃくへい)、後ろには罪状が書かれた巻物を立て左右に燭台、手前に巻物の
香炉・供物と共に煙管を飾りました。
香合:一位(アララギ)木彫り ほおづき∞四万六千日の功徳
紙敷:涼を呼ぶ よろけ縞間道
巻物香合:九谷焼
燭台:青楽焼
蝋燭(ろうそく)の色を変えたり海外の土産物、身近な茶道具の常什品をうまく取り合わせても、
充分雰囲気ある床飾りの演出が出来ます。
各商家の主人達は購元を勤め商人中∞家号入り′」提灯を出し、奉公人が無事帰省し仕事に戻れるよう
特にやぶ入りの日¥、家の大事な行事とされました。この日だけは地獄の釜の蓋≠熾ツざされます。
飾り付けの巻物に書かれた罪状も白°泄ィの煙管には銀のカエル≠フ象嵌、奉公人が無事帰る≠ニ
洒落ての飾りです。江戸の人々はしぐさ≠ヘもちろん、心持ちも粋(すい)と共に持ち合わせていたと
伝えられています。冥界の王もこの日だけは一服ですね
25.7.26 東京数寄屋倶楽部 村山元伸