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季節の室礼 床の間飾り




五月(皐月・早苗月・多草月)

端午祝ノ儀 その弐



牛若丸と弁慶°梃ワ条大橋の一騎討ちの場面。五月人形を使った床飾りです。








牛若丸は後の源九郎義経(げんくろうよしつね)の幼名で、京鞍馬寺に預けられ天狗から剣術を学んだと


言われています。一方の弁慶は幼名鬼若丸と呼ばれ怪童として名を馳せていて、比叡山で修業していたものの


暴れ者でやりたい放題で山を飛び出し、名を武蔵坊弁慶に改め荒ぶる者として京では有名でした。


太刀千本奪取の大願を立て、九百九十九本を戦い負けた者から取り上げ、あと一振りの刀で千本になる夜


女装した義経と出会い、打ち負かされ家来になったと言う有名なお話です。この場面はNHK大河ドラマを


始めとしていろいろ紹介されています。








京東山三十六峰丑三つ刻、女装し横笛を吹いて橋を渡る牛若丸。待ち構える弁慶。


弁慶の振り下ろす大薙刀を一瞬身をかわし、橋の欄干に飛び移り太刀を弁慶に浴びせようと


する場面。女装の羽織が風で舞い上がり、戦いの躍動感が伝わります。


五月人形として現代版3D人形です。私なりにもっと生き生きした戦いの臨場感あふれる作品


と思い、すべて手を加えながらのリメイク作品です。








戦いが月明かりが頼りの夜なので、地板・衝立共、黒神代杉を用いています。背景の衝立に京の


各名所の透かし彫りが施してあります。(大文字の送り火・東寺・清水寺・銀閣寺・中央は五条に続く


四條大橋と鴨川の流れ、右上に東山の銀の月)










地板は神代杉の杢目・柾目に厚みの段差を設け、川面を表現し、流れに小石を置き合わせています。









橋全体は三分割されていて、神代杉地板と衝立が場面の土台です。左右から本物の石垣造りの橋の登り口を


セットし橋桁を置き、最後に戦いの場面の人形を乗せた太鼓橋を乗せて完成です。




















左右に市松行灯一対、赤と浅黄色(あさぎいろ)の毛氈の重ね敷き。五月人形飾りで定番の


若草色の敷物では作品が軽く感じられるから不思議です。









紙敷:緑の垂れ柳

香合:冠付象牙(菖蒲紋)





香合裏側は天神梅鉢紋で、一器二季使いになっています。











瀧割板(黒部杉)を滝に見立て鯉の花入れで鯉の滝登り

花は白アヤメ

















五月人形一つとっても、いろいろと手を加える事により思わぬ演出が出て、


床飾りの楽しみが増します。










25.5.5 東京数寄屋倶楽部 村山元伸