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季節の室礼 床の間飾り




十月(神無月・神去月・神在月・良月)

秋露・珠の如し









新米が出廻り、天高く馬肥ゆる秋となりました。食欲の秋です。床中央にレトロな銅製手造りの屋外用の


厨房器です。実際に今でも不都合なく左右の釜口で煮炊きが可能です。茶会の懐石の前段階、招客の方々が


あっ!≠ニ驚きつば≠飲み込む一瞬を捉える床飾りです。


収穫への感謝・米・ごはんがテーマですので寄付の床飾りや茶飯釜の茶事の組み合わせに面白いと思います。









床に赤の毛氈(もうせん)と器下に紺の煎茶用の敷物を重ね敷きし滅り張り(めりはり)を付けました。


床柱に備前焼のつくね型≠フ花入、金波穂を落とし入れています。秋も深まり、震災に遭われた方々の


みちのく各地≠ナ芋煮会(いもにかい)のたよりが聞かれます。南部鉄器を始め隠れた名菓、優良な


日本酒の郷(さと)でもあり、もっともっと、特産物を使い楽しい茶会や演出の道具として使って見て下さい。


これも小さな復興支援です。
















茶の湯江戸千家の古くからある出し帛紗柄です。これが実に洒落ています。青海波のように見えますが、


金波・銀波の波打つ稲穂を表していて、寿≠フ字と人の眼≠フマークが散らしてあります。これで


寿々目(すずめ)≠ニ読み取ります。流祖川上不白≠フ人柄がうかがい知れます。











愛くるしい一位(アララギ)材の一刀彫福久良雀(ふくらすずめ)≠二羽添えました。


両方供この時期ピッタリの脇役です。












羽釜の蓋(ふた)ですが、一般的に二引の取っ手が多いです。各地方、地方により、富士型・末広型・松毬(まつかさ)


など様々の形がありますが、ここでは火炎(かえん)を押さえる事から番人の閻魔(えんま)大王の冠(かんむり)・


朱塗りは大王の奥様の髪の櫛(くし型)を基にデザインしてみました。



















床飾りの中に本物を一部忍ばせると他の物も見間違うばかりです。


    



床飾りは特に秋の深まりに合わせながら写真のように収穫物を変える事により和≠フ感謝祭(ハロウィン)飾り


にも使えます。














この時期ではありませんが、十字煙突を久留守≠ノ見立て、クリスマスのリースを掛け麦穂などを


添えれば聖夜の飾り≠フ演出にも早変わりです。


皆さんも身近な道具を使って楽しい床飾りをしてみてください。









24.10.23 東京数寄屋倶楽部 村山元伸