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季節の室礼 床の間飾り



五月(皐月・橘月・梅月)



茶家においても床の間や寄付床に兜を飾る習わしが古くからあります。関西方面では公家の


歴史文化が色濃く残り、房兜(ふさかぶと・組紐を使った)等上品な飾付けをします。


公家本来は武家とは違い桧兜(ひのきかぶと)と呼ばれる桧皮や桧の木地仕立(顔の面具のみ金箔仕上り)の


上品で優美な兜飾りです。現在でも天皇家に男子がお生まれになると「桧兜」を贈る習わしです。









写真の飾りは男子元服時の丈150pの大きい(実際着用できる)甲冑を基(もと)に少しづつ

10年掛けて手を加えました。鉄砲の伝来と西洋文化の流入がそれまでの平安様式とは劇的に

変化しました。戦国桃山期の実戦向きで華やかでいて「凄み」の有る戦国甲冑を再現したいと考え、

兜の座に「吉祥群雲」前立に「山の字」を重ねて苗字を表しました。







胴から当世袖にかけて自作の赤・金の「数珠」が肩越しに掛けられていて戦場へ向かう気迫を

表現しました。正に「一期一会」の世界です。









両脇には種子島鉄砲と西域のペルシャ刀・腰差しは独鈷小刀と「和魂・洋才」で顔の面具に麻で自分で


「髭」も植え込みました。更に甲冑飾りを引き締める為既製の鳥の子屏風に江戸更紗の「龍柄」が両脇に


あしらっています。月の輪熊と鹿皮もうまく飾りに融けこんでいます。男の茶会ではこの方が


話が盛り上がります。花も軸も掛けない節句飾りです。




私が戦国甲冑の中でデザイン・迫力・意匠の三拍子は豊臣秀吉がスペイン国王に贈った


「仁王胴具足甲冑」です(1884年火災で焼けました)。現在はレプリカを飾っています。


スペイン王宮武器庫にレプリカと火災以前の写真があります。





江戸更紗:渠弥好







24.7.14 東京数寄屋倶楽部 村山元伸